駒ヶ岳ファンクラブ

「駒ヶ岳ファンクラブ」は、日本各地の駒ヶ岳の豊かな自然を愛し、駒ヶ岳山麓の人と交流し、その山麓の文化に親しみ、日本各地の駒ヶ岳に登る」を目的とした会員からなる団体です。

糸魚川駒ヶ岳登山の記録

仲 徳治
 令和4年10月3日-4日で新潟県糸魚川駒ヶ岳を清水川さんと二人で登山しました。
 3日は糸魚川市フォッサマグナの西の起点に有るので先ずフォッサマグナミュジアムを見学いたしましました。
 巨大なヒスイの原石に感激し、縄文時代から珍重されている宝石であったことを知りました。続いて登路の偵察を兼ねて、フォッサマグナ糸魚川―静岡構造線)の露頭を見に行きました。
 明日登る駒ヶ岳の大岩壁に驚き、隣に見える雨飾山は、山名のゆかしさにどんな詩人が命名したものか、と考えたりしました。深田久弥の日本100名山「雨飾山」では、「つつましいむしろ可愛いらしいと言いたいような山」で始まり、名前の由来を最後に書いていますが結局は分からず「個性的な美しい名前で十分でないか」と結んでいます。
 明日は写真の線図に沿って登りますが、山頂は岩壁を回り込んだ陰になります。
 フォッサマグナの露頭の案内文では。西側が新しい地層で、東側がひすいの産出する古い地層となっています。
 駒ヶ岳雨飾山をひすいの眠る山と呼ぼうと思いましたが、どちらも西側の新しい地層の山でひすいはありません。姫川がフォッサマグナに沿って流れていますが、河原の石がすべてひすいに見えてしまうのは欲に眼がくらんでいるためでしょうか。
 露頭に続く道の入り口に水準点が置かれていました。

糸駒遠望
 根知部落より奥正面に糸魚川駒岳がそびえています。明日は赤点線に沿って登ります。

雨飾山遠望
 糸魚川駒ヶ岳の右に頂上が尖った雨飾山が見えます。

ジオパーク露頭30
 日本列島を二つに分ける断層、「西」ユーラシアプレート由来の古い岩石(古生代3~4億年前)、東は新しい岩石(新生代 1000万年前)

水準点
 露頭に続く道の入り口に水準点が置かれていました。

 4日、昨日見た駒ヶ岳を正面に仰ぎ、根知川を渡り、材木切出用の林道を上り、終点標高600mの駐車場に到着しました。今日は平日でも有り登山者は我々だけのようです。
 6:15分出発、曇り空、今日1日こんな予報です。未だ紅葉には早く木々は緑の葉が一杯。登山の始まりは清水川さんの「ウオー」の一声。これは熊に我らの居場所を知らせるためで、道を視ると熊の好物のクヌギの実がいっぱい落ちていました。
 30分位歩いた所が「胸清水」頂上まで150分と書いてあります。頑張らなくては。
 隣の雨飾山にはお花畑がありましたが、此処は樹木が鬱蒼としているのか花は余り眼に入りません。黄色がアキノキリンソウ
 7:00「能登見台」空が澄んでいれば能登が見えるかも知れません。傾斜も急になり登山路にロープが張ってあります。地図を見るとこの辺りから1000m島滝沢にかけて等高線が密になっており、ロープを頼りにした登りになっていきます。道端には白い穂の花イブキトラノオ。岸壁の基部まで上がってくると一寸した平地。見上げると殆ど垂直な岩壁、これが長い年月の間に海底から地上1,5000m迄上がってきたとはプレートの力は計り知れない。
 ロープ頼りの腕力登山。対岸の斜面には麓のスキー場が見えます。岩の核心部「バンド」細長い洞窟状。登山口から2時間ほど、足元も悪くロープが張ってあります。標高は1140m。岩を回り込んだ当たりが一寸勾配の緩やかな所に、糸ノ滝が有りました。脇を見るとやはり岩の壁です。「すくみのテラス」1253m低木が周りを囲い緊張感が休まります。
 地図では岩場が登山路の下になった様で上が明るくなってきました。尾根筋に上がって急登は続きますがロープはなくなり、足元も落ち葉を踏む登山路道、空の線が少しずつ下がってきました。「すくみのテラス」から約1時間、木の葉の隙間の向こうに対岸の山が見えました。
 9:28 標高1487mの糸魚川駒ヶ岳の頂上に着きました。山頂の木々は紅葉が少々始まっていました。清水川さんの友人話で「糸魚川駒ヶ岳、あそこは素晴らしい山です。3回行きました。是非行って下さい」との話を思い出しました、その通りの山です。真冬「カネコロン」を眺めたり、木本さんの岩壁登攀を体験すればもっと感動するでしょう。
 梯子下りは登り以上に緊張します。バンドでは着いた足が滑らないようにロープに力が入ります。
 11:50登山口迄降りてきました。頂上から880mを1時間46分、時間当たり500m下った計算になり、足にかなりの負担が掛かったのではないかと後から思いました。
 4000万年前から始まった海洋プレートによる地殻変動、そしてフォッサマグナ。海底火山から噴出した熔岩が地上1500m迄隆起して現在に至った山とされ、自然と言うより地球のダイナミックな力を目の前に見ての登山、岩壁の隙間に根を張る草木の生命力の強さ、頂上近辺では紅葉に染まりかけた木々と素晴らしい景色を見続けた登山でした。
清水川さんには終始先導して、熊払いもして戴き、無事に下山できました、改めて感謝いたします。

糸魚川駒ヶ岳登山口、登山届けを投函。

登山路の脇に「アキノキリンソウ

能登見台 標高835m

イブキトラノオ

標高差300mの見上げる大岩壁 4000万年前は海の底でした。

「バンド」横長の洞窟5mのオーバーハング

 糸の滝

登山道から灌木を隔てた先は岩壁。

下りで写す。「すくみのテラス」 から見る雨飾山 沢の合流点の右側に「雨飾山荘」が有ります。

頂上近くのブナの低木原生林に囲まれた、登山路の合流。道端のハート形の葉は「リュウキンカ」?ならば7月頃は黄色の花が咲いていたかも?

頂上は紅葉の始まり。

頂上の石の祠をバックに旗を入れて登頂記念。

バンドの上、梯子を下る。