駒ヶ岳ファンクラブ

「駒ヶ岳ファンクラブ」は、日本各地の駒ヶ岳の豊かな自然を愛し、駒ヶ岳山麓の人と交流し、その山麓の文化に親しみ、日本各地の駒ヶ岳に登る」を目的とした会員からなる団体です。

蜀道を歩く(中国四川省)物見遊山(その6 最終回)

木本 桂春

 11月1日、ホテルで朝食を食べる。昨日のけが人の方は三角巾で手をつっているが大丈夫そうだ。今日も朝食が旨い。おかゆ、豆乳、春雨のスープ、ゆで卵にスイカ
 ホテルから街中を通り、蜀道へ抜ける。         f:id:komafun:20200201164401p:plain街はずれ朝の風景        

f:id:komafun:20200201164710j:plain農婦に道を聞く  

 街並みを出ると山村に入る。作業中の農婦にガイドが道を聞くと大きな声で教えてくれる。         

f:id:komafun:20200201164807j:plain道横の畑に水牛2頭が草を食っている。         

f:id:komafun:20200201164837j:plain清涼橋という古い石橋

 橋を渡ると緩やかだが長い石畳の登りが続く。上の方で一人の老婆が長靴履きで、杖を持って待っていてくれた。ガイドが話しかけると62歳だという、ずいぶん老けて見えた。
 今日は金曜日で孫を学校へ迎えに行くのだと笑っていた。石畳は滑るからこの竹の杖をとすすめてくれた、その足もとでは「滑るよ」との教えであり、「転ばぬ先の杖の教え」だった。          

f:id:komafun:20200201164913j:plain静かな街道は続く

 四川周辺の気候は温暖で日本のような台風の様の強風もなく、冬の雪もうっすらと積もるくらいだという。穏やかな気候は樹木、道路の保全にも良いのだろう。

f:id:komafun:20200201170104j:plain

5日間80kmの歩行無事終了

 涼山郷に着く。村の中を散歩しながら、食堂で昼食をとる。 

f:id:komafun:20200201170148j:plain田?管理機」と明記された古い耕運機

f:id:komafun:20200201170210j:plain食堂の料理人奮闘

 一行18人到着。店は日本の盆と正月がいっぺんに来たようようでテンヤワンヤの大騒ぎ。若い娘が2人応援に来ていた。2つのテーブルで店はいっぱいとなる。
 店の前には付近の人が何事かのぞき見に来ていた。
 メニューは、キュウリと豚肉炒め、チンゲンサイ、ホウレンソウの炒め、四川風煮込みうどん。

 旨いとほめると料理人は腕にこぶし作って見せた。 

f:id:komafun:20200201170319j:plain横の家の昼食風景、店先でご飯にマーボ豆腐、卵焼き

 バスで高速道路を成都へ移動。道は渋滞で大幅に遅れる。f:id:komafun:20200201170351j:plain高速道SAにて、洗濯物をかけ休むトラック

 ホテルの外で食事。成都で一番の繁華街へ行く。金曜日で若者があふれていた。東京の人が言う「雷門に渋谷の若者群を連れてきたようなものだ」、こんな情景に出会わぬ吾は見とれていた。

 11月2日、朝食のヨーグルトの酸味が抜群だった。
 中国を後にし、快適な飛行で日本に着く。
 翌日、我が家に到着した。

「終わりに思ったこと」
 中国はスマホと車と高層建築物であふれていた。歴史の深さ、重さを肌感じる。見るもの聞くものが多く、とても整理がつかない。改めて勉強の必要テーマが増えた。
 中国の蜀道の周辺の農村は、国策で、にわかの道路の整備、古い住宅は撤去や使用禁止にして、白い3階建の住宅建築が進んでいる。
 しかし家の周辺にはほとんど人を見かけない。老人がぼんやり日向に座っている。平日ということもあろうが若者も子供も見ることがなかった。

 四川料理の材料供給農業は消え行くような気がしてならない。この国の都市部への人口集中。急速な近代化とスマホと車に夢中な若者は村に戻ってこないだろう。日本の昔の姿が見えていた気がする。