木本 桂春
北陸新幹線の黒部宇奈月駅より黒部川左岸の県道を宇奈月温泉方面へ車で20分。右の山沿いに越中「山街道」と称した古道が存在している。この道は室町、安土桃山、江戸時代初期に使われていた。この道沿いに今は廃村となっている嘉例沢集落があり、今回は同集落周辺を散策した。
廃村となった集落入口から石仏を見に行く。
1600万年前の凝灰岩に彫られた石仏がさや堂と呼ばれるこの建物の中にある。
中には幅5m、高さ5.8mの大岩には5体の石仏が彫られている。
左3体が地蔵菩薩で室町時代作、中が観世音菩薩、右が如来坐像でいずれも江戸時代作。
黒部市から西にある上市町、日石寺にある不動明王の磨崖仏で、行基が刻んだものであるという。剱岳、立山信仰と関係が深い。
この地の石仏は作者が判らない、僧ヶ岳信仰と関連するのだろうか。
集落の上方には駒洗い池がある。
この地には南北朝時代に城があり武将が駒の手入れをしたところだという。
今は人も去り、誰もいない山野だが往古には神や仏をよりところとして、人々が笑いを響かせ生活をしていたのだろう。
さらに700m付近のキャンプ場から遊歩道を辿り鋲ヶ岳(861m)展望台へ。
眼下に黒部峡谷の入り口、宇奈月温泉が見える。
紅葉はこれからだ。付近にナナカマドの実とネジ花があった。
ナナカマドの実
ネジ花