木本 桂春
5月14-16日、東北の山に遠征しました。
車で富山から岩手まで片道650kmの道程でした。
岩手にはKFCの元会員・小野寺ご夫妻がおられます、この山行も色々アドバイスを頂き実行しました。
5月14日、早池峰山山麓の岳集落に入り、駐車場にて仮眠。
地元の小野寺夫妻は明日、姫神山の山開きのリーダーの為、同行ならずで私たちだけで行動しました。
5月15日3時起床、4時ライトを点けて歩き出す。
小田越えまで8.5kmの林道を黙々と歩く。林道は山毛欅の若葉の中を歩く。こんなに長時間も新緑の林道を歩くことが無いのでうれしい。
河原坊へは2時間。宮沢賢治の詩碑に出合う。
河原坊からは冷たい風が吹く。樹相は一変してダケカンバ帯となる。芽吹きは無かった。
小田越え7時半、早池峰の頂上は視界が充分だった。樹林帯には残雪が僅かだったが、残雪が増えルートを見極め、岩のガラ場道へ出る。
遮る樹林が無く、西からの風が吹きつける。
1500m付近で風にひれ伏す。ハイマツ帯のかげに休む。その後1700m付近まで達した。岩に霧氷が張り付いている。
強風に危険を感じ、下山する。
梯子に張り付いた霧氷
1500m付近からの山櫻と小田越と薬師岳
久々の強風と寒さに、逃げるようにして小田越へ。朝と同じく黙って林道を岳集落に帰る。
「今度いつ来るかね」とのたまう仲間は元気が残っていた。姫神山麓へ移動、宿で小野寺夫妻と合流。
5月16日・姫神山へ
昨夜、小野寺夫妻と久々の交流会で楽しい会話を交わす。
お二人は地元で山の会を運営し、積極的に四季に渡って高齢者を山へ仲間と連れ出しているという。
昨日も姫神山の山開きで参加者150名の総リーダーを任され、無事下山されたとのこと。
今日は富山の私たち5名を案内してくださる。
コースは一本杉ルートを登る。
取付き点付近の小野寺ご夫妻
良い天気で歩き出とすぐにシラネアオイに出くわす。
シラネアオイ
私たちの富山で見る花に比べて1.5倍ほどあり大きく、紫色が濃い。
この後も頂上までに多くの花に出合う。
エンレイソウ、ヒトリシズカ、カタクリなどなどを小野寺ガイドの解説入りで紹介いただく。老人は残象能力が薄いので記憶が少ない。
大人三人で抱える幹の太さ・一本杉・樹齢300年
小野寺さんが言うには「50年前に聞いた時も樹齢300年と言っていたので、今は350年です。」
この後、ざんげ坂の急登を越え、しっかりと整備された緑の多い道を行く、頂上直下で背後に岩手山が立つ。
緑の北上原野に立つ山々に宮沢賢治のイーハトーブの世界を見た。昨日の冷たい風のなごりが吹いていた。南東方向に早池峰山が小さく横たわっている。
山行中、小野寺さんにはしっかりと老後の山について教わった。
「高齢者を引きこもらせないための山登り。会員で95歳の方が低山を登り、一人で自活している。山は生きる力です。と言っておられます。」いい言葉をお土産に富山へ帰る。
姫神山から北上の原野と岩手山
翌日、駒ヶ岳ファンクラブ通信が届く。東北の山特集で小野寺さん夫妻の記事が溢れていた。いい出会いは一生だと思った。